2024年度から、保育士の配置基準が一部改正されることになりました。
配置基準改善は大きな前進ですが、読み解いてみると、まだまだ不十分な内容になっています。
今回は、改善の内容と問題点をザックリ解説します。
- 4・5歳児…30:1→25:1
- 加算措置での対応
- 経過措置期間あり
- 3歳児…20:1→15:1
- 1歳児は2025年度以降
年齢 | これまで | 2024年度 |
0歳児 | 3人 | 変更なし |
1・2歳児 | 6人 | 変更なし |
3歳児 | 20人 | 15人 |
4・5歳児 | 30人 | 25人 |
【2024年度】「保育士配置基準改善」の内容
4・5歳児(30対1→25対1)
4・5歳児の配置基準が、2024年度から以下のように改正されます。
旧…子ども30人に保育士1人
新…子ども25人に保育士1人
いわゆる最低基準(※)での改正になります。
※「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」に定める保育士配置基準
76年ぶり…というか、76年前(1948年)の制度発足以来、初めての改正です。
また、これに対応する「加算措置」「経過措置」を設けるとのことです(後述)。
3歳児(20対1→15対1)
3歳児も、最低基準が改正されます。
旧…子ども20人に保育士1人
新…子ども15人に保育士1人
4・5歳児と同様、加算&経過措置での対応になるようです。
1歳児(2025年以降)
1歳児については、2025年以降に「5対1」へ改正するとされています。
現在……子ども6人に保育士1人
数年後…子ども5人に保育士1人
「加速化プラン中の早期に」ということなので、2026年度には実施されるのではと思います。
今回の改善の問題点
25対1でもキツイ
4・5歳児が30対1から25対1に改正されても、保育の負担が軽くなるとは思えません。
世界的に見てもそのくらいの国が多いようなので、もっと改善してもらわないと、保育士やってられませんよね。
加算措置では不十分
今回の改正では、「加算措置を設ける」とされています。
つまり、「25対1でやっている保育園にはお金をあげるよ」ということ。
さらに「経過措置として当分の間は従前の基準により運営することも妨げない」ともされています。
しかし、これでは保育園によって必要な保育士の数が異なり、保育にも格差が生まれます。
「30対1のままでいいし、お金もいらない。」という保育園があるからです。
格差是正の観点から見ても、加算措置ではなく、しっかりと最低基準での改正を実施すべきです。
チーム保育推進加算の取得施設は対象外
職員配置に関する加算の一つに、「チーム保育推進加算」があります。
この「チーム保育推進加算」を取得している施設は、今回の加算では対象外となります。
「チーム保育推進加算」を取得していない施設には意味があると言えますが、ガッカリ感は否めません。
経過措置が無期限
最低基準は改正するものの、「経過措置として当分の間は従前の基準により運営することも妨げない」とされました。
「すぐには対応できないだろうから30対1のままでもいいよ」ということです。
確かに保育士確保が難しい地域もあるでしょうから、わからなくはないです。
しかし、「当分の間」では、いつまで経過措置なのかハッキリしません。
いつ全国一律で25対1にするのか、時期を明確にする必要があります。
3歳児もいつまで加算なのか
3歳児の15対1は、2015年からすでに加算措置が実施されています。
今回、最低基準を改正するとのことですが、加算措置も継続されるようです。
20対1の保育園と、15対1の保育園では、子どもたちが受ける保育に格差が生まれます。
いつまで加算措置なのでしょうか。
1歳児も早く改善を
「2025年度以降」とされ、今回の改正では見送られました。
2026年度には実施されると思いますが、おそらく「加算措置」&「経過措置」になるでしょう。
現在の最低基準では「6対1」。超キツイです。
市町村で独自に加算をつけて、5対1や4対1で保育できるところもあります。
早く5対1にして、さらに4対1、3対1へと改善を進めてほしいです。
まとめ
今回、76年ぶりに配置基準が改善されました。
改善そのものは大きな前進ですが、内容はまだまだ不十分です。
もっと改善してもらわないと、子どもたちの安全を守れませんし、保育士もどんどん辞めていきます。
今後も改善が進んでいくよう、保育士の大変さをアピールしていきましょう。